KEI's昆虫採集記:採集記バナー

さくら祭りも悪くない

2007年4月7日 人混みに追われ、流された先でツクバクロオサムシ深緑型に遭遇。

他に初遭遇の虫もいて、なかなか楽しい一日でした。

 

(無用に長くて、つまらない前書き)

桜も平地ではすっかり満開を過ぎ、山里でも大分イイ感じになっているだろうなあ。

筑波山東麓で側溝を覗いたり、桜の花を愛(め)でたり、ひょっとして材置き場にヒメスギカミキリ以外のカミキリが来ているかも・・・と淡い期待もあって出掛けたのですが、そこは『さくら祭り』開催中でした。

“さくらトラップ”は日本人にはめっぽう効き目があって、道に傾斜がつくころには、人、車、人、車、車、人、車、車、人、人・・・・ここがこんな賑やかだったのは初めてです。

一時停止もままならず、追われるように尾根筋まで出、そのまま筑波山頂方面に向かう羽目になってしまいました。尾根筋の道では、自称か他称か存じ上げませんが『走り屋』さんたちがエンジン音も勇ましく往来しております。これでは崖も側溝ものんびりチェックなどしてられません。

仕方なく、山頂を北に巻く道を下りはじめたところ、すぐに怪しい分岐を見掛けたのですが、停車は間に合わずそのまま下り、いつぞやヤツメカミキリが爆発していたポイントにチェックインしました。

昆虫写真のサムネールをクリックすると拡大画像が別ウィンドウで開きます

コケオニグモ♀

静かな公園の苔むした幹を覗き込むと、初めて見るクモが潜んでいました。巣が顔にへばりついたり、頭上から目の前に下ってきたり、首筋にとりついたり、嫌いな生き物の代表格なのですが、この美しさには驚きました。

石神井公園のクモくも蜘蛛蟲の“きどばん”さんが管理されている掲示板に問い合せさせていただいたところ、名前が判りました。どうもありがとうございました。クモの世界も広く深いです。

イタヤハマキチョッキリ
(拡大画像ありません)

コケオニグモの撮影に夢中になっていると、採り手の呼ぶ声が。『るどさんのとこに載ってたヤツ。奇麗!』まだカエデの枝先にいるというので、慌てて向かいましたが、傾斜では極端に行動力の落ちる撮り手が辿り着くと、案の定落下しており、採り手の掌で擬死しています。

んんんん・・・それにしても奇麗だにゃあ。

イタヤハマキチョッキリ♂
(室内撮影)

戻って調べると、るどさんのサイトにあったのは、よく似たファウストハマキチョッキリ(カッチョ良い名前です)で、前胸背にあるトゲ(♂)が控えめです。こちらはイタヤハマキチョッキリとわかりました。生態写真が撮れなかったので、室内でパチリ。

イタヤハマキチョッキリ♂
(室内撮影)

アングルを変えてもう1枚。5ミリに満たない小さなチョッキリですが、ご覧の通りの美しさ。また嵌まり込んだら大変だなあ、、、と思いつつ、新しい出逢いは嬉しいです

他に虫の気配もないし、新しい出逢いも堪能できたので、先ほどスルーしてしまった、怪しい脇道に戻ってみることにしました。

うまい具合に退避スペースもあるので、落ち着いてチェックできそうです。

古い倒木が何本も横たわり、ここ数年は作業車も整備の方も入っていないようです。

見上げると芽吹きはじめたものや、冬姿のものに交じって立ち枯れもちらほら。

どのくらい下草が繁茂するかによりますが、シーズン中に是非チェックしてみたいポイントです。

で、道の両サイドは目移りしそうなほど、小崖が続いています。周囲の状況から『まだ目覚めてない』という採り手の判断で、少しずつ削りながら登っていきます。

筑波山頂にはブナも自生し、北斜面にはモミもありますが、陸の孤島のように周囲の山地から取り残されているためか、多様な昆虫相を楽しむことはできません。そういった事情もあってか、崖や材にはまったく採集の跡もありませんでした。

さくさくと表面を削ってみます。

ツクバクロオサムシ
(拡大画像ありません)

出ちゃいましたね。

場所的には、『元祖』、『老舗』、『本家』とつけてよさそうなほど、真正ツクバクロオサムシであります。

出たとなると、緑色タイプを探すのが最近のパターンです。ムヒヒ。

スジアオゴミムシ
(拡大画像ありません)

 

・・・・沈黙・・・・

(ムラサキ)マムシグサ

姿だけでなく、構造もなかなか面白いらしいのですが、姿だけ楽しんで、ムシ探しを続けます。

ハチの一種
(拡大画像ありません)

本日一番多く出てきた昆虫です。

単独で出たり、集団で出たり、不思議君であります。

ツクバクロオサムシ
(拡大画像ありません)

 

標準色?は相変わらず良くでてきます。

セミの幼虫

シロアリか!?と思うほど小さく、撮り手は何が出たのかまったく判りませんでした。採り手に見てもらうと『セミの幼虫。写真撮ってみれば判るよ』

で、思い切り寄って撮ってみると、こんな小さなセミの幼虫は初めてです。昨年の夏に生れた初令なのでしょう。

うまく根に取りついてくれることを祈りつつ、戻しておきました。

ツクバクロオサムシ
(拡大画像ありません)

崖に縁取られた道の両側から

出るわ出るわ・・・

・・ムラサキ、ムラサキ、ムラサキ

ツクバクロオサムシ

出ましたぁ!深緑。

同種とは思えないほど潔い色彩変異。

正面からスピードライトを焚いて撮っても、これだけ緑が出るのがアオオサムシと違うところです。同じオサムシの仲間でも外殻の構造が違うのでしょうか。

上と同じ個体です。

スピードライト撮影と見た目があまり変化しないという点では、ヒメマイマイカブリも同様ですが、構造はむしろこちらに近いかも知れません。

・・・なんて、同じ土俵で語ることはできませんが、レンズの表面反射色については、アンバー(琥珀)、マゼンタ(紫)、ブルーは同じ単層コーティングでも膜圧の差はほんの僅かですので、生物では更に微妙な差が結果を大きく変えている可能性はあります。

ツクバクロオサムシ
(拡大画像ありません)

削る小崖は、九十九折(つづらお)りを曲がるたびに出てきます。これと思しきところをチェックすると、かなりの数が出てくれます。

ヤホシゴミムシ

Genkaさんのところで見たゴミムシだ!』またも採り手の発声で、覗き込むと、ビー玉のような眼をした美しいゴミムシでした。

 

灰青のビー玉のような眼、

飴色の艶やかなエリトラ(翅鞘)

べっ甲の中でも最高級とされる白甲(しろこう)を彷彿とさせる前胸背の透け具合がたまりません。

ハナムグリ

肉眼ではもっと緑緑していました。

 

カメラに触れてから、かれこれ30年以上は経っているはずなのに、いちいち注釈をいれなければいけないのは、撮影条件の設定がヘタッピだからです。

面目もありません_| ̄|○

ツクバクロオサムシ

標準色ですが、老舗ポイントなので、一応拡大画像も準備しました。

右エリトラに不整があり羽化不全のようですが、生活には翅鞘(支障 ^^ゞ)はないでしょう。

 

何度となく足を運んだ筑波山ですが、

昆虫の棲息状況は良くありません。

 

それでも、まだ見るべきポイントが残されているようです。

 

今年は他に少し探索範囲を広げてみるつもりですが

虫採(撮)りの楽しさを教えてくれたところですので、

チェックは続けてみようと思っています。

>> KEI's昆虫採集記 <<

inserted by FC2 system