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小さな初夏の先駆け

2007年4月21日 茨城県北部:早いとは思いましたが

  14日に雨に降り篭められてチェックできなかったポイントを中心に歩いてみました

  (今回は、たいした虫もいない割に長いです)

昆虫写真のサムネールをクリックすると拡大画像が別ウィンドウで開きます

相変わらずの寝ぼすけ眼(まなこ)をこすりながら表に出てみると・・・

『こんちゃあ!』

グミの花にコメツキ(同定放棄_| ̄|○)がやって来ていました。(拡大画像ありません)

汗ばむほどの暖かさであります。筑波方面ならカエデもばっちりだろうにゃあ。

時間的にも迷いどころでしたが、今年は県北もテーマにしています。先週雷雨に追われて、下見もできなかった場所も気になります。

天気も今日はダイジョブでしょう。

なので、ちょっと遅いけど行ってみよ!

高速すいすい、順調順調。100km/hで流れてます。

撮り手のカフェイン切れで、ピットイン!採り手もフィールド向けの予備エネルギーを調達します。

裏にあるカエデが気になったので、向かってみましたが、見上げても虫の姿はありません。

ふと足元を見ると・・・

アオオサムシ(拡大画像ありません)

目の前を大きな影が横切りました。

あれれ!急ぎ足のアオオサ君。写真どころの騒ぎじゃなく活発で、ポケットから“オカズ入れ”を出して、緊急逮捕。エリトラに欠損がありますが、元気元気。

ケースの中でしゃりしゃりとコマネズミのように動き回ります。

シーズンインだなあ・・・

・・・やって来ました。

陽射しはありませんが、暖かく、想像よりはイイ感じ。何かいてくれそうです。

長靴を履き、久し振りにネットも標準装備に加えることにしました。まずは付近を偵察に行く前に“いつふく”して、水分補給など・・・

ヒナルリハナカミキリ

準備を整えたところで、カエデの根元の岩を見るとヒナルリハナのカップル登場です。

出てる出てる(^.^)

チョー優勢種とはいえ、カミキリの歓迎を受ければ幸先も良いです。

で、カエデはといえば

んんんん微妙な赤みでありますが、陽当たりの良さそうな枝には開いている花も確認できました。

ここを先途と“移動しながらバンバン掬うのだ”作戦開始であります。

ヒメクロトラカミキリ(拡大画像ありません)

これも優先種のひとつです。

今年の初トラカミキリは、予想通りこのカミキリムシでした。風情は悪くないのですが、撮り手には小さ過ぎて肉眼で感動が味わえないという、哀しくもキビシー現実を突きつけられてしまいました。

アカハネムシの仲間だと思われます。
(拡大画像ありません)

たった一週間ですが、先週とは打って変わって、いろいろな虫が出ています。

キバネニセハムシハナカミキリ

これも優先種。早くもカエデの常任理事虫3種確認完了です。

優先種、普通種と言われる虫達は、季節が来ると先を争って爆発するように一気に飛び出してくる印象がありますが、実際には遅れて出てくる遺伝子も相当の割合があって、そうすることで、季節の変動にも負けず毎年安定多数を維持することもできるのでは、などと思っています。

ダイミョウコメツキ
(拡大画像は下の写真で)

美しいコメツキがネットインしました。

越冬中のハネビロアカコメツキも魅かれるものがありましたが、やはりアウトドア@オンシーズンの美麗種は格別です。

ダイミョウコメツキ

ディテールを見たくて室内撮影してみましたが、いつも通り微毛があると難しいです。

更にチェックを続けます。

ここでも満開にはほど遠いものの、ちゃんと開いている枝もありますので、掬います。

掬って、掬って、掬って、掬って。。。久し振りの長竿は流石の採り手も疲れると申してます。

え?私(撮り手)?最初の数枝でばてました。はい。

まだまだ蕾状態のカエデは、“連休中にまた来よう”と思わせます。

虫好きをリピータにする、ベリーナイスなキラーアイテムなのであります。

フタオビヒメハナカミキリ

やっほー

ハジメマシテのカミキリムシがネットインしました。県南ではヒメハナカミキリを見掛けることもありません。やはり新しいフィールドに出ると新しい出逢いもあります。

普通種?結構じゃないですか!私たちには嬉しい初遭遇です。

セモンジンガサハムシ

やるなぁ〜!背中に金色に輝くエックスのエンブレムを背負ってます。脚先がネコの赤ちゃんみたいで、また良いんですよねえ。

マルクビツチハンミョウ

ツチハンミョウまではすぐに判るんですが、そこから先がどうもいけません。

今回はペアでいてくれたので、♂♀とも触角を確認できました。特異的に膨らむ箇所も無いためマルクビとさせていただきました。

体液には毒(用法によっては強心作用もあるとかないとか)があるので、触れないのが吉と言われています。

タカオメダカカミキリ

こんな小さくて“高尾”と名のつくカミキリムシで、ブナの落ち枝採集が一般的?と言われているのが、まさかの目の前にいたりするわけです。やめられまへんなあ!

撮り手にはファインダーを覗いて初めてカミキリと判る程度のサイズです。こんなのがカエデにやってくるのも凄いと思うけれど、メッシュからこぼれなかったのも凄いなあ。

タカオメダカカミキリ(室内撮影)

ディテールが欲しかったのですが、標準的な接写レンズでは難しいです。

採り手の若い眼がなかったら、ハナノミやハムシ、もしかしたらゴミと間違って確認もしないだろうというくらいのサイズです。お手柄お手柄。

ファウストハマキチョッキリ(室内撮影)

イタヤハマキチョッキリを筑波で撮影できましたが、今回はファウストハマキチョッキリがペアでネットインしました。♂の前胸にある棘が小さいので、識別できますが、採り手によると『色も違うじゃん!』脱帽。

どちらも宝石のような美しい昆虫です。

タテジマハマダラミバエ(多分)

ハエと言えば蠅なので、特に撮り手の世代は家蝿に悩まされたこともあり、どうも印象が悪いのですが、『平均棍(こん)』の存在を知ってから認識が変わりました。ガガンボも同様に見る目が少し違ってきました。“不思議”や“面白い”にはある種のパワーがあるようです。

山の桜も一部咲き残っていますが、季節は確実に替わりました。

この一帯、杉の植林帯もありますが、カエデが非常に多いことにあらためて驚きました。

次にチェックすべきポイントを確認しながら、そろそろ撤収モードにはいります。

またくるからねえ〜〜〜

ひゅいぃ〜ん、と戻る途中・・・

例によって例のごとく、新しめの杉の伐採木置き場があり、まあ、そうだろうなあ、と思いつつ寄り道してみました。

ヒメスギカミキリ

ほぼ予想通り、春祭か!?というくらいの賑わいでした。

ペアリングの最中もおとなしく静止していることは少なく、忙しく歩き回り、離れたり、くっついたり、材の上、下、表、裏。縦横無尽に駆け回り、また飛来してきます。

ヒメスギカミキリ

ちょっと変わった色の個体もいましたが、10頭に一頭くらいはいるようで、つまりここには10〜20頭以上の色違いがいるってことでもあります。

蟻も遠慮するほどの勢いでした。

山のヒメスギ祭りも確認したところで、帰路につきました。

途中またカフェインの補充に立寄るころには大分暗くなりましたが、虫はマニュアルで撮っているのに、風景は無頓着にオートで撮るので、時間感覚の欠片(かけら)も無い写真になってしまいました。トホホであります。

 

今回は初採集もあり、私たちにはうれしい“前哨戦”となりました。

多くの虫屋さんから見れば“そこにいて当たり前”の虫達を

確認しに行ったようなものではありますが、

こういった優先種、普通種、いつものやつら、と呼ばれる虫達であっても

見ようとしない人達には一生掛かっても出逢うことができないのも事実です。

 

邪魔すんなよな!というほどの数が集うヒメスギカミキリでさえ、

それと知らなければ気付かずに通り過ぎるだけです。

身近な虫達に身の丈をもって触れることの大切さについては、

多くの方々が折りに触れ発信されていますが、

本当におっしゃる通りだと思います。

だから何ナノ? そう、何なんでしょうか?

つまり、そういうことであります。

 

“身近なところに輝いて”いても気付かずにいることのなんと多いことか。

 

ということで、カミキリスイッチ おぉお〜〜〜〜〜〜ん! な 一日でありました。

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