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煙の向うに見えるもの!?

2007年6月23日 茨城県北部

  挨拶は時の氏神、炭焼きオジサンは虫の神サマか?

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今年の梅雨は気まぐれです。

週間予報では、雨でしたが、天気がずれてくれましたので、またやって来てしまいました。本当にこんな梅雨で夏から秋の虫たちに影響があるのかないのか、先のことも少し心配です。

それにしても、花がありません。途中の道沿いにはありましたが、山に入ると栗も見掛けません。まだ土地勘も季節感もない場所なので、正直少し不安になります。

道を登り始めて少し行ったところに咲き残った花がありました。

マルバウツギのようでもあり・・・ウツギの仲間であることは間違いなさそうですが、まずは本日の初掬(すく)いです。

ニンフ(ホソ)ハナカミキリ
図鑑にならって、今後ニンフホソハナカミキリ表記にしていこうかと、考え中です。

本日唯一、花で印象に残ったカミキリです。あ、トゲヒゲトラカミキリは沢山いましたけど、あちこちの花で。それからキイロトラも一頭だけ。

ともあれ花不発の一日でした。

ヒメヒゲナガカミキリ

花が不発、というより殆ど見掛けなかったので、粗朶(そだ)や伐採木のルッキングとビーティング(ネットでゆすりとったり)に切り替えました。

桜と思われる粗朶についていたところを、採り手が発見。

『触角を見つけるんだよ』

みなさんそう言いますが、馴れないと見えてこないんですよこれ。

ヨツキボシカミキリ

まだ居ることを確認するために、ヌルデを掬ったところネットインしました。さすがにピークは過ぎていて、スレが始っています。鮮やかさも無くなりましたが、魅力的であることに変わりはありません。

小さな炭焼き釜の前にある材置き場です。

それほど材も多くありませんが、今日は釜に火が入っていて、炭焼きの香りが漂っています。

作業の方がいらっしゃらないので、みえたらご挨拶することにして、とりあえず探索です。

シラホシカミキリ

むひひ。大好物が飛来していますね。エリトラ(翅鞘)全体が蒲鉾(かまぼこ)型ではなく、少し前の自動車のデザインの様な、角は角でしっかり出して、軽くアーチをつけたような、いわゆる『メンペキ』感が他のカミキリには無い魅力です。色合いも良いでしょ!

ヤツメカミキリ

桜材にいました。今年初めて見掛けた個体は、大型で新鮮そうな美しさでした。

これも思い入れの強いカミキリムシです。

エグリトラカミキリ

ここでも見飽きるほど居ましたが、活発で写真はなかなか撮れないため、今日はジックリと撮らせてもらいました。

プロフィールもお洒落です。

(拡大画像ありません)

あまり迷うことは無いカミキリムシですが、模様の他、エリトラ(翅鞘)の先端を拡大すると、明確なトゲトゲが確認できます。

そうこうしていると、この煙の主がぼわぁんと登場しました。(実際は軽トラですけど)
『こんちわぁ!』採り手の挨拶に気軽に答えながら車を降りた炭焼き場の主は親切な方でした。
挨拶は時の氏神と言いますが、この方はまさに虫の神様かも、と思わせることがこの後起こりました。

この付近のことを伺ったり、私達がしていることをお話ししたりしました。
『へぇ〜カミキリムシ!?もう出とるんか!?』
『はい、こんなのとか出ます。』

話しながらカミキリを見つけた採り手が、お見せしたのは

ナカジロサビカミキリ

炭焼きのご主人には小さ過ぎた印象でしたが、

『他にもいろいろ採れるんですよ、こういう材置き場が我々にはとても有難いんです。』

『なので、またこれからも覗きに来ますので、よろしくお願いしますね!』

『おお、いつでもおいで!』

親切な方でした。

キスジトラカミキリ

基本だなあ・・・

ハネビロハナカミキリ

おおっ!

うれしや、我家的初遭遇です。

りっぱなカミキリムシです。初遭遇で言うのも何ですが、古く乾いた材を選ぶ傾向があるようです。

良い雰囲気だなあ。

 

カミキリを物色させていただきながら、

炭焼き用に切り出した太い材を割るために

自作されたという装置や、ウィンチを見せていただいたり

この付近のお話しも伺いました。

最初このまま戻って、もう1〜2往復チェックを繰り返すつもりでしたが、

『この先、少しいくと●●山に向かう丁字路があって、

道もトラックも通れるほどだからダイジョブだよ』

と教えていただきました。

折角なので覗いてみることにしました。

あのまま戻ったらチェックすることも無かっただろう、乾いた小さな材置き場です。

時間のゆとりもあるので、チェックしてみると

ハネビロハナカミキリ

いるいるいる、結構集まっています。

本日初遭遇なのに、撮り手に生態写真が撮れるほど集まっていました。

で、更に進んだところにあった椎茸のものと思われる榾木(ほだぎ)ですが、陽当たりが良過ぎて手入れはされていないようです。

ルッキングをしてみましたが、虫はいません。

周囲の草地にあった、小さな萩に飛来するオレンジ色の虫が一頭。

以前ならハムシと思っていた撮り手ですが、秩父で学習していましたので、ジックリ見てハムシでないことを確認、葉裏に来たところで、採り手にご注進!

ヘリグロリンゴカミキリ

我家的茨城県初採集です。

付近にはヨモギが多く自生していました。

大型といえばシラハタリンゴ、小型ならヘリグロリンゴです。リンゴカミキリのオレンジは格別の美しさがあります。

この先行き止まりなので、戻ります。もちろん先ほどの材置き場も再チェックです。

ハネビロハナカミキリ

初遭遇種でしたが、結果7頭の持ち帰りに成功しました。大感激であります。

ヒメトラハナムグリ

えいつ!

なかなかカッチョ良い瞬間でした。

ムネアカクロハナカミキリ

真正初遭遇種。やったね。

これは嬉しかったです。

チャボヒゲナガカミキリ

これも初遭遇種。

ぱっと見セミスジコブヒゲ的ですが、触角だけでなくそこはかとなく雰囲気も違いますね。

キイロトラカミキリ

少数ですが、お馴染みの顔も、パチリ。

正面から見ると印象が違ってきます。

オオオバボタル

荒れた場所にいる印象がありますが、まだ出逢ったばかりなので、結論は出せません。

トゲバカミキリ

茨城県では初かも。

秩父産よりも、斑紋が淡い個体でしたが、地域差かどうかは不明です。

 

本日前半、黒のスポーツタイプとすれ違いました。

道が広く走り易いので、ポイントに停車していないと

あっという間にすれ違ってしまいます。

撮り手はドライバーを確認できませんでしたが、

採り手は『Kさんに間違いないよ』

やっぱり来てたんだ(って我々がお邪魔してるんですけどね)なあ。

今回はすれ違っただけでしたが、どんな成果を上げられているんでしょうか?

また、機会があれば是非お話しも伺ってみたいと思います。

 

そうそう、採り手によればKさんのホームページに

炭焼オジさまについて書かれていたとのこと、

もしかして、その方は今日お逢いしたフレンドリーな炭焼きの主かも

 

これでまた北茨城が面白くなりそうです。

本日のオマケ

炭焼きの主の後ろ姿を・・・

殆ど趣味でやっているという炭焼きだそうですが、火入れから3日は掛かるとおっしゃっていました。

木酢液も取っておられましたが、『最近は竹酢液が欲しいと言われるんだけど、竹炭は手も掛かるし難しい』そうです。

またお逢いしましょうね!

 

本日は、掬うべき花が見当たらず

どうなることかと思いましたが、

材を中心に16種のカミキリが出て来てくれました。

これって、我家的ダントツ茨城新記録です。

数や種類がすべてではありませんが、

素直に楽しめた一日となりました。

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