KEI's昆虫採集記:採集記バナー

束の間×2=ニセシラホシポイント

2007年6月30日・7月1日 茨城県南部の束(つか)の間採集でしたが・・・

  ニセシラホシカミキリの発生ポイント発見。

  いると信じれば出て来てくれることもあるけれど、

  いないと決めてしまえば何もいないのです。

昆虫写真のサムネールをクリックすると拡大画像が別ウィンドウで開きます

 

本日午前中、撮り手がメタボ対策的イベント(通院などと呼ばれますね)に出掛けたので

午後短時間にひゅんと出掛けられるポイントを探ることにしました。

なら、筑波山でヤツメカミキリでも狙おうか。

高速を降り、山に向かって行くと初めて見る光景が・・・・

何度も通っていますが、こんなことは初めてです。

誰かさんが横になって布団を被ったような姿になっていました。

 

しかも、今日のポイントはまさにその“布団”の裏なのです。

こりゃ、結構強い霧雨が来るなぁ。覚悟しとかないとね。

だめならだめで、面白景色を見に来たと思えば良いじゃん。

やって来てみれば、案ずるより産むが易し。予想案外でありまして、気温は低いものの見通しはしっかりですし、雨も降っていません。

探索開始すると、妙に静かで

・・・嘘々、今日は賑やかでした。

 

煙は上がっているし、草刈りの音がブンブンしています。

そして、オジサマ達が三々五々(さんさんごご)集まってきます。

ご挨拶してお話しを伺うと、ボランティアで公園(になってます)の

整備をされていらっしゃるそうです。

いつ来てもゴミも少なく歩きやすいのは、こういう方々のお陰なんですね。

 

で、例によって『何とってるの?』、『何かいたかい?』と

一服される順に質問をされましたが、遊ばせていただいている身です。

事情もご説明し、あれこれ世間話的なやり取りも楽しませていただき、

探索させていただくことになりました。

 

人の気配はたっぷりですが、虫の気配がありません。

期待したヤツメカミキリは影も見えません。

ですが、あちこちに散在する粗朶(そだ)には・・・

ヒシカミキリ
(拡大画像ありません)

5ミリに満たない小型種です。

初採集ではありませんが、この個体、撮り手が裸眼で確認した初めての個体です。

見つけるのに精一杯で、写真はへろへろ、露出もピントもがちゃがちゃで、とても生態写真になりません。

ニセシラホシカミキリ
公園の外をチェック中の採り手がキャッチ。

ああぁ!
シラホシだと思ったようですが、確認してビックリ。呼ばれて駆けつけた撮り手も。

すっげぇ!
これは良いカミキリがでちゃいましたねぇ〜。

捨てたもんじゃないぞ筑波山!

ツクバクロオサムシの幼虫かも

ニセシラホシの追加を狙って近くをうろうろしますが、そうは問屋が卸してくれません。

足元のがさがさ音で採り手が確認すると、大きなみみずをオサムシの幼虫らしきが襲っていました。

この付近ではツクバクロオサムシくらいしか見ていないので、その可能性は高いと考えています。

ヒシカミキリ

撮り手の叩き網に落ちたところを、パチリ。案外大人しかったです。

このとき、周囲には椿のような白い花が落ちていましたが、これが後にちょっとした騒動の元になったのでありました。

エグリトラカミキリ

まいど!

やっぱりいますねえ。

・・・で、『うのはな』の解説ボードがありまして、件(くだん)のウツギの葉には

あれれ!

見事な後食痕がついてます。

ホントにウツギなのかいな?

疑うわけではありませんが、

折れ口を見ると・・・

確かに“空木”状態です。

シラホシカミキリ

ニセシラホシが頭を過(よぎ)りましたが、本家シラホシカミキリでした。

葉の上にいる個体ばかり見掛けました。

シラホシカミキリ

背中の白斑の内、上部の6個が円を描くように配置されています。

良く見かけるカミキリになっても、魅力は薄れません。見蕩(みと)れてしまう美しさです。

オジロアシナガゾウムシ

動物的な癒し系昆虫です。

クズなどで良く見かけますが、今日はハギに掴まっていました。

シラハタリンゴカミキリ

下草に休んでいました。

大型で少しスレンダーな印象があったので、ソボリンゴかと色めいたのですが、上翅の黒い部分が“肩に”見事に届いており、シラハタリンゴとなりました。

アトジロサビカミキリ

サビカミキリは同定が厄介なこともありますが、馴染んでくるととてもシックで味のあるカミキリの宝庫です。

 

そんなこんなで、帰宅しました。

いつも通り採り手は持ち帰ったカミキリの確認と整理をしていました。

撮り手はのんびり写真の整理を・・・・

 

ああ〜〜〜〜っ!

 

何だ何だ何だぁ?????

『オトウサン、一番大事な樹をチェックしてなかった!』

いったい何なの?

 

『ニセシラホシの樹があったんだよ!』

『何それ?』

『ニセシラホシは、ナツツバキとかヒメシャラを後食するって。

あそこに樹皮の剥がれたこんなのあったでしょ!』

と、いってネットで検索した樹皮の画像を見せてくれました。

『あ、サルスベリかなんかかと思って上見てなかった。

そう言えば叩き網でヒシの写真撮った時に下に白い椿の花が落ちてたぞ!』

 

『(明日は熊谷に戻らなきゃいけないでしょ)一頭確保できてるから、ま、良いか』

と言ってもらえましたが、撮り手の頭の中にはニセシラホシの生態写真を

ばしばし撮りまくる自分の姿が浮かんでしまっています。

『明日、ピンポイントで30分位で良いから行こっ!』

珍しく行動的な撮り手でありました。

 

・・・・という風なやりとりがあって・・・

翌7月1日

やってきてしまいました。

これこれ、これですよ。ヤツメ狙いで情報も整理していなかったこともありますが、昨日は見事にスルーしてしまったところです。

あるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるある

あちこちに後食痕もあるじゃないですか、

花もしっかり咲いてます。

ナツツバキだなこりゃ。

で、何本かあるナツツバキをなめ回すようにルッキングし、枝先をスウィーピングもしたのですが、かすりもしません。

発生しているのは間違いないのに、なぜ?

ヨツスジハナカミキリ

筑波ではそれほど多くはありませんが、それなりに見掛けるカミキリです。

狙ってないのは見つかるんだよなあ。

トゲバカミキリ

少し時間をあける意味もあって、付近の粗朶(そだ)類をチェックしてみました。

ホタルカミキリ

もうピークはとっくに過ぎているはずですが、かなりの数が出てました。

この近辺の粗朶(そだ)は、サクラ、ネム、樺の一種、コナラなどが混じっているようです。

クワサビカミキリ

ちょっと良いかも。

ヒメヒゲナガカミキリ

サクラ材(その後の調べでクリの可能性が高いです)に集中してついているようでした。

クワサビカミキリ

斑紋にはそれなりに個性があります。

マスダクロホシタマムシ

もしやもしやもあるので、カエデを掬ってみたところ、美しい中型のタマムシが入ってました。

マスダクロホシタマムシ

こちらは一回り小型で緑色の強い個体です。

ゴマダラオトシブミ

本日最後の虫はこの派手なオトシブミでした。

 

粗朶や近辺の見回り、ナツツバキのチェックを

何回か繰り返しましたが、ニセシラホシカミキリの追加は得られませんでした。

冷静に後食痕を見ると、縁が大分茶色く乾き、古いようにも見えます。

無駄足?

いえいえ、昨日一頭得ており、発生を確信できましたので、

満点ではありませんが、我家的には十分成果がありました。

 

今日来ないで『あの時入ってればタコ採れしてたかも』という

後味の悪い気分を引きずらずに済みましたし、

筑波もまだまだいけるぞ!ということが良く判りました。

 

 

 

その他の拡大画像:

 シリジロヒゲナガゾウムシ @ 7月1日

 ヒメヒゲナガカミキリ @ 7月1日

 オバボタル @ 6月30日

 ヒシカミキリ @ 6月30日

>> KEI's昆虫採集記 <<

inserted by FC2 system