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奥秩父夏の陣'07 セイネンは高野を目指す?

2007年盛夏に成り掛けの頃 カミキリを求め今年も奥秩父を覗いて来ました

  標高1000メートル付近のリョウブにコウヤホソハナのパラダイス発見。

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ジュウジクロカミキリ

オニグルミを掬って得られました。(拙管理人は粗朶ルッキングと勘違いしていました。修正させていただきます。)

フタオビアラゲカミキリに似ていますが、エリトラ(翅鞘)付け根の黒いコブと模様が特徴です。

小型ですので、慣れた方でもフィールドで判断できず、見落としてしまうこともありそうなカミキリムシです。

コウヤホソハナカミキリ

昨年出逢って以来スッカリ魅了されてしまった、大型でチョースマートなハナカミキリです。

二等辺三角形の前胸背とその影を長ぁ〜く伸ばしたようなエリトラ(翅鞘)、キャントストップフォリンラブなカミキリムシの資格120%です。

コウヤホソハナカミキリ

ある方が奥多摩の入口にある某山で100頭単位でいるよ、とおっしゃっていましたが、そんな光景に出逢ったらどんな気持ちがするんだろう。自分たちもそういうポイントが探せたら、と憧れていましたが、咲き誇っていたリョウブにパラダイスを見つけてしまったのです。いるいるいるいる。リョウブについているカミキリの殆どがこの素敵なシルエットのカミキリムシで、しばらくは興奮がおさまりませんでした。

マルガタハナカミキリ

コウヤホソハナカミキリのリョウブに、かなりの数が集まっていました。幅広で特徴的なシルエットです。サイズもちょうど良く、いるところには沢山いるのですが、不思議と邪険にされることは少ないようです。

数頭確保したあと、斑紋変異を狙いましたが個性的な個体には出逢えませんでした。

ミヤマホソハナカミキリ

開けて見通しの良いところで確保しました。

右後脚が完全でないのは残念。

オオヒメハナカミキリ

この仲間の中では大型です。曇って湿度の高い日はピドニア日和(びより)と言われますが、今回ピドニア(pidonia:ヒメハナカミキリ族)とは殆ど出逢えませんでした。

ジュウシチホシハナムグリ

エリトラ(翅鞘)の模様が輪になっていて楽しいハナムグリです。

オオセンチコガネ

里山で良く見かけるセンチコガネと色で迷ったら、頭楯(とうじゅん)と呼ぶ顔にある器官の形が目安になります。

オオトラフコガネ

これも山に来ないと逢えない美しいコガネムシです。

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散漫でただ写真を散らしただけなのに、こんなところまでご覧いただき、ほんとうにありがとございました。実は今回の旅でも印象に残ったのは、『人』です。ここまで辛抱強くご覧くださった方々も含めて、ということになりますが。

初日は雨に祟(たた)られ、夜の灯火も雨の中でした。そんななか、中目黒からやってこられ、スクリーンを張って、子供たちに灯火の経験をさせていらっしゃる方がおられました。父兄同伴のようですが、子供たちには蛾も甲虫も自由に触らせ、持ち帰りたい子供は自分で掴み、持ち帰っていったようです。蛾についてとても参考になるお話しも伺いましたが、『子供たちに少しでも良いから、闇の中を飛んでくる虫たちを体験させたい』とおっしゃっていました。こうした経験はきっと心のどこかに残るだろうから。と。ただ、子供が一人、マムシを捕まえようとして噛まれ、救急車で秩父の病院に搬送され、一晩泊ることになってしまったそうです。事故は残念そうでしたが、『いい勉強になったろう』ともおっしゃっていました。

最後の夜、宿の前の駐在所に珍しく遅くまで灯りが点いていました。採り手が灯りに来ている虫を見ていると、駐在さんが出てこられましたので、事情をお話ししたところ、『今夜は灯りに来る虫を採ってる人がいるから、灯りを消さないで欲しい』と、宿の方が頼んだそうです。まったく知りませんでした。駐在所ではこれといった成果はなかったですが、カミキリムシ以上のものをいただいた気がしました。件(くだん)の駐在さんは、ドラム缶を持ち上げたり、立ち木に手刀をくれたりして、鍛えておられるようでした。町中の警察なら立派な道場がありますが、こういったところでは、地道に体力を維持しているんだな、と感心してしまいました。

地元の方からも興味深いお話しを聞けました。キャンプ場の造成作業をなさっている現場に立ち入らせていただき、材のカミキリムシを採らせて貰ったときのことです。この林道の埼玉県側と長野県側では植生が大きく違っているそうですが、これは土の違いが大きいそうです。埼玉県側は昔海だったそうで、渓谷も荒川でなく利根川と繋がっていたことがあるとか。長野の土は黒くて深く、栄養もたっぷりあるけれど、埼玉県側は薄くて下は岩になっているらしいです。『その代りそこらの地震じゃびくともしないけどね』(落石は怖そうだなあ)そんな話しを伺っている時に、オニグルミノキモンカミキリに出逢ったのも何かの縁でしょうか。

是非また出掛け、いつかは峠を越えて長野までも行ってもみたいと考えています。

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