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Green Panic !

2007年8月14日〜15日 栃木市郊外で緑(アカアシオオアオカミキリ)の洪水に遭遇

  いると信じて出掛けてみたら、期待以上の出迎えにパニック状態。

  ただ只管(ひたすら)緑の洪水に浸った2日間でした。

昆虫写真のサムネールをクリックすると拡大画像が別ウィンドウで開きます

毎年恒例の盆のトラフ探しですが、ここ数年は桑畑の衰退が激しくなっています。昨年大発生を確認した桑畑も一段と乾燥が進み、飛翔する一頭を確認できたのみで、キボシカミキリの姿すら見られません。

今回はもう一つの目標、夜のアカアシオオアオカミキリのポイント探しに、早々にスイッチすることにしました。

エゴヒゲナガゾウムシ♂

付近にあった雑木林の林縁にエゴが数本あり、覗き込んだところ、ぽつりぽつりと実につく虫が見えました。

ようやく撮影できた♂です。残念ながらペアでの撮影はできませんでした。

エゴヒゲナガゾウムシ♂

生態が遠かったので、摘んでパチリ。

見事な牛面です。

エゴヒゲナガゾウムシ♀

♂に比べ愛嬌のある顔立ちをしています。

残念ながら今回も産卵シーンはお預けです。

 

このポイントを後にして、あちこち動き回りましたが、

結構クヌギが多いことに気付きました。

ただ、以前踏み込んだことのあるクヌギ林は薮蚊以外の虫が確認できず

少々不安は残りますが、いないと決めつける根拠もありません。

 

で、数ヶ所目に、見事に整備された河畔の公園に辿り着きました。

かつてクワガタを探しにきたこともあるところですが、一応覗いて見ます。

クロカナブン

乾き気味でしたが、そこそこ樹液も出ているようです。

流石(さすが)クロカナブン、後翅も見事に黒いことが判ります。

クロカナブン(寄ってみました)

クモの巣が付着していますが、まったく影響していないようで、元気です。

ミヤマカミキリ

カミキリいましたね!夜はミヤマやウスバで大変な騒ぎかもしれないなあ・・・でもこういうカミキリに交じって本命が出現することも経験済みなので、今日チェックした雑木林の中では一番有望です。となると、夜は花火やクワガタ採りの子供で擦った揉んだしないことを祈るのみかも・・・

 

その後も少し迷いましたが、結局ここを夜の部の第一候補とすることに決定!

ボリュームたっぷりの田舎の晩ご飯を済ませ、勇む心に安全運転を言い聞かせて

出掛けてきました。

早々にクヌギの樹液をチェックしますが、来ているはずのミヤマカミキリは

おろか、ウスバカミキリの姿もありません。

????・・・だめなら他をチェックすれば良いか・・・・

例によって撮り手が弱気に傾いていると、

 

 

 

『出た━━━━(゚〇゚;)━━━━!!!』

 

『沸いてるよ!早く早くぅ〜!』

 

採り手はかなり興奮しています。

どれどれ・・・・どっこいしょ。

重いカメラを背負い直して

えっちらおっちら撮り手が行って見ると。

アカアシオオアオカミキリ

出ましたぁ!新ポイント発見の瞬間であります。

それほど太くはないクヌギに集団発生したような印象で、集っていたそうです。

何頭か確保して、興奮もそのままに撮り手も加わって付近の探索を続けます。

ハグルマトモエ

『おっ久し振りにトモエガ撮ったどぉ〜』

ちょっと嬉しい出逢いに浮かれた撮り手でしたが、後ろからアカアシオオアオカミキリが覗いていたのは気付きませんでした。

だからさぁ〜・・・_| ̄|○

アカアシオオアオカミキリ

それでも付近のクヌギをチェックしていくと、後から後から発見でき、ここでの異常なほどの濃さを実感しました。

アカアシオオアオカミキリ

右後脚の脛節(けいせつ:スネにあたる部分)から先を失っていますが、元気です。

アカアシオオアオカミキリ

ペアは樹液から離れたところにいるようです。

アカアシオオアオカミキリ

こっちにもペア!

ペアの生態写真が二組も撮れるとは、まったく考えもしなかった撮り手もすっかり興奮状態です。

 

時間にしておよそ1時間程でしたが、

採り手も撮り手もすっかりフィーバーしてしまいました。

 

歴史のある太いクヌギに出現するという話しも伺いますし、

最終的には、樹液の多いところに集まるにしても、

これまでのつくば野での経験も踏まえると、むしろ幹径20〜30センチの

弱っているクヌギに多く出現するように感じます。

 

幹から直に蘖(ひこばえ)のような細枝が出、

それほど多くない葉がついているようなクヌギ。

懐中電灯で下から照らすと、樹冠までの見通しが良く

樹冠にはきちんと葉が茂っているようなクヌギです。

 

このようなクヌギの高みからわらわらと降りて来ます。

そして、そのまま手の届くところまで降りてくる場合もありますが、

人の気配を感じるのか、それともライトの灯りに反応するのでしょうか

降りてくる途中で止まってしまうこともよくあります。

このような時は、虫体の上方にネットを軽くあてがってやると、

刺激に反応して、早足で幹を下ってきますので、慌てる必要はありません。

幹を周りながらだったり、一直線にだったり、長い触角を振って降りてきます。

 

途中で止まったり、上方に向き直ったらまた、ネットをあてがいます。

 

この間ほんの僅かの時間ですが、大型のカミキリムシを今か今かと

待ち受ける気分は堪らないほどの高揚感を与えてくれます。

 

手元にやって来たら、落ち着いて摘むわけですが、

摘んだ後の指の香りもまた、このカミキリムシの現場での楽しみです。

オオアオカミキリの仲間は芳香を放つものがいると言われています。

その中でもアカアシオオアオカミキリは里山でも得られるため、

身近で貴重な“芳香族”だと思います。

是非お試しください。

数は明かしませんが、不完全体をリリースするだけのゆとりが出るまで堪能させてもらった翌日。すっかり日も高くなったころ、

環境の再確認と、『こうなったら、昼もいることを確認するしかないんじゃないか!』

あまり昼の生態について情報が得られないカミキリですので、ここの濃さを頼りに昼の採集に挑戦です。

散歩がてらでしょうか、遊歩道のゴミを拾っていらした、地元の方と軽く談笑する採り手です。

ご覧のように、雑木林と呼ぶには向こう側が透けて見えるほどしか奥行きがありません。

昨夜、フィーバーしたクヌギの樹冠方向です。

それなりに葉は茂っているのが判ります。

ともかく7メートルの竿で、掬える範囲を掬ってみます。

アカアシオオアオカミキリ

いました!

昼もクヌギにいることは間違いなさそうです。

コクワガタ

なぜか一緒にネットインしました。

枝先にいたものか、樹幹から慌てて落ちたところにネットがあったのか?????

ご覧のように、途中はほとんど細枝しか出ていないようなクヌギに集まっていました。

ある程度の高さに成長した樹は、日陰になる部分に余計な枝を付けないのは十分承知していますが、それにしても枝打ちされた杉でもあるまいし、途中の分岐が殆ど見られず、細枝があちこちに出ているので、見慣れたクヌギとは明らかに違った印象です。

アカアシオオアオカミキリ

こんな風にして、ここまで6頭ほど得ることができました。他のカミキリムシがまったくといって良いほど見られないのに・・・・本命が多く得られたのは、喜ばしい反面、少し心配でもあります。

クロカナブンシロテンハナムグ

昼の樹液につきもののこういう虫たちも減っています。それと今年は巣を育てる時季に豪雨もあったためなのか、スズメバチが異常に少ない印象です。それもこれも、今年だけのことだと良いのですが。

 

満足すべき成果が得られたため、最後に目視できる個体を探すことにしました。

幸いここは、河畔の土手を背負っている雑木林ということもあり、

土手から葉上についている個体がいないものか、ルッキングです。

 

何と呆気ないほどに出逢ってしまったのです。

 

ほどなく採り手の呼び声が・・・・

アカアシオオアオカミキリ
(拡大画像ありません)

クヌギではありませんでしたが、隣にあったコナラの葉上に佇む緑色の大きなカミキリムシが・・・

ホントに見つけちゃったんだぁ

採り手に枝先をそっと下げてもらい、撮り手は背伸びしてカメラを構えます。

興奮状態でしたが、不思議と『ここは絶対自然光だぞ』という意識だけがしっかりとしていました。パチリ!

やたっヽ(^o^)ノ!!!

二人ともすっかり満足なのであります。

ジャコウアゲハ♀

正に想像以上の成果に、達成感というよりは安堵に似た気分とともに緊張はとけたものの、興奮はなかなかおさまりませんでした。

ネットを畳む車の横の草原(くさはら)に優雅にジャコウアゲハが舞っていました。

こんな風に昔からの雑木林を少し残し、散歩できるよう道を通し、傾斜には芝草を植え、台地の上にはベンチもあります。カメラを構えている駐車場には、大きなイベントホールのような建物と自販機。。。

自販機!?

あ、昨夜はスルーしちゃったから、来年は自販機も見回らなくっちゃね。というささやかな宿題を胸に、真夏の楽園を後にしたのでありました。

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