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道教えないミチオシエ

2007年9月22日 茨城県南部 新しいポイントへ偵察というのか・・・

  いつもよりちょっと北へ。花の季節は楽しいかも。

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肌にもようやく涼しさを感じられるようになった今日この頃、カミキリ屋のみなさまはコブ叩きなどに勤(いそ)しまれていらっしゃるご様子。
我が家のハナミズキの実もそれらしく色づき、落ちはじめたか、鳥に啄(つい)ばまれたかしているようです。

※ コブ叩き:コブヤハズカミキリ類を、枯葉などを叩いて落とし、叩き網と呼ばれる数十センチ四方の布で受ける方法。この叩き採集はカミキリムシ採集ではとても効率的な方法のひとつです。

ブルーベリーの実も殆ど残っていません。

今日はいつもより少し北の低山にロケハンのような、物見遊山のような、とにかく雰囲気だけでも味わってみようということで、出掛けます。

以前から意識はしていたのですが、某筋からの『入山禁止情報』(ガセでした!)で、足が向いていなかったところです。

この夏、某林道でお逢いしたKさんに『花のシーズンは楽しめますよ』とアドバイスいただいた道を、辿ってみることにしました。

どんなところかまったく判りませんが、来シーズンの下見を兼ねて、あわよくば秋のカミキリでも・・・土地勘も何もないところで初心者が・・・はい、もちろん弁(わきまえ)えております。

案外道は走り易いですが、車の数は多い方です。

尾根筋の道は景色も抜群です。

この見晴らしや地形(風が安定?)を利用してのことでしょうか、この一帯にはハングライダーやパラグライダーを楽しむ方が集まります。

ハンミョウ

で、この季節は風向きが逆のためか使われていない、北に向かっているハングライダーのランチャー付近のむき出しの路地に、ちょこんと佇むようにいました。

陽射しの似合う美しい昆虫です。

しかし、後ろにまわってみると・・・

ちょっと間抜けに見えたりします。

久し振りにハンミョウを見たところで、更に進みます。

少し進んだところで、左に下る広く舗装された分岐があり、軽い気持ちで偵察に入ったところ、あっという間に深い轍(わだち)のダートに踏み込み、このままいくと、戻れない(結構急な登りになるので)かも知れないという不安にかられ、ぎりぎりのスペースでスイッチバックしました。

轍に前輪を取られないよう慎重に戻る途中。西向きの岩盤が広く剥(む)き出しになっているところがありました。

『ハンミョウ!』取り手の声で、コーナーの斜度の緩い膨らみに停車。岩肌を見ると・・・

そこかしこに、ハエのような活発な虫がとりついています。

驚き桃ノ木(古っ!)、見れば全部ハンミョウです!

水の沁み出している部分もありますが、特に水に魅かれている様子でもなさそうです。

いくら数が多くても盲撃ちでは採れません。岩盤は微妙に凹凸や隙間もあり、虫にとっては、シューティングゲームで言うところの“安地(安全地帯)”になります。掬(すく)い難い状況ですが、採り手渾身の一掬い!

ハンミョウ

採り手がネットを振るっている脇で、撮り手はのんびり撮影です。

ですが、流石に機敏な虫なので、不用意に寄るとひらりと身を翻して数メートル移動してしまいます。
そぉ〜っとそぉ〜っと、3メートルでパチリ。2メートルでパチリ。あと1メートル、あと70センチ、あと50センチ、、、この辺が限界かも。足下が側溝ではなく、単純な窪みになっていて不安定でいけません。何度もバランスを崩し、その度に視界から消えてしまいます。
数はいましたが、まともな写真はあまり撮れませんでした。

なお今回のハンミョウ写真はすべて、増感して(カメラのISO感度を上げて)補助光なしでの撮影です。昆虫自体の濃い影ができないため、自然といえば自然なんですが、その分肝心の虫体に光のまわらない部分も増えてしまいます。典型が下の写真です。

も少し工夫しなくちゃね_| ̄|○

さておき、今日の“道教え”は、垂直な岩肌にいたため、道を教えてはくれませんでした。

※ 越冬準備ではないかと思っています。
  冬には集団越冬が見られるかもしれません。

ダートを慎重に戻り、尾根筋の道に出て、進むことしばし。再び眺望が開けたのですが、北斜面にはこんな物騒というか、生々しい立て看板が・・・かつて北茨城では山菜取りで道に迷わないようにね、というどちらかというとほほ笑ましい看板を目にしているのですが、これは背筋に迫るものがあります。

対照的に、反対斜面ではこんな楽しそうなことをしています。

私たちには風が強過ぎるんじゃないの!?というような状況で、楽しげに何機かがランチャーから飛び出して行きました。

ほんの2〜3歩で、ふわりと浮き上がり、そのままランチャーの上を少しまわると、思い思い(でもないのかな?)の方向に散って行きます。

ランディングポイントは決められているようで、パイロットと機材を載せた地元のオジサン風の方が運転するワンボックスと、何度かすれ違いました。

気持ちイイんだろうにゃあ〜

けれど、撮り手にはちょっと恐ろしいし、採り手も『できそうもない』と言ってました。

その後、ポイントになりそうなところで一旦停止を繰り返しつつ、車を北に進めました。

この間カミキリは見事にBOWZ

陽も傾き暗くなってきた山裾(やますそ)に咲き残っていたハギがありました。

まばらですが、トラマルハナバチ(翅の付け根も黄色いのでそう考えてます)と、多数のノメイガの仲間が飛来していました。

マメノメイガ

自宅に戻り、写真を見てから判りました。その夜自宅の玄関灯にも来ていたほどの普通種で、幼虫は小豆(あずき)など豆類を食い荒らすようです。

これが本日茨城県最後の虫でありました。

 

カミキリには出逢えず、下見になってしまいましたが、

ハンミョウの群れもいて、楽しい休日ではありました。

 

低山ではありながら、通い馴れた南茨城の山よりも

むしろ北茨城のイメージに近い道が続いていました。

 

この一帯、Kさんに教えていただくまで入山を諦(あきら)めていたわけですが、

ハングライダーがわんさか舞い上るのを見た時点で、思い至らなかったのが盆暗ですよね!

 

Kさんにはお会いした直後に『それは勿体なかったですね』と

メールで慰めていただいてしまいました。

今シーズン、他にあれこれ見ておきたいポイント巡りもあって

この時季初訪問になってしまいましたが、

有望なフィールドが近くにあると判っただけでも大収穫です。

 

どうもありがとうございました。

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