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主役は春霞の彼方?・・・結局スギさまチェック

2008年4月5日 1年振りの茨城県とことん南部

  我家的ご当地初確認を目指しましたが・・・・・

08/04/09:記事最後半の蛹がシナノクロフカミキリになりました

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春盛り。

見あげれば桜が空をピンクに染め、視線を戻せば菜の花が華やかに光を弾(はじ)きます。

そんな華やかさはありませんが、清々(すがすが)しく穏やかに、ホトケノザはいつものように足元にありました。

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ニホンミツバチも忙しく花を訪れています。

今日はおよそ1年ぶりに茨城県のとっても南にやって来ています。『一応スギカミキリもちゃんと採っておこう』、『それと居ていいはずの幼虫を居ていいはずの桜で確認してみたい』

そんな我家的な目標もあります。

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アオスジカミキリの食害が激しかったネムノキは、半枯れを遥かに超え、殆ど立ち枯れ状態になっていました。危険な太枝は落とされ、穴だらけの樹幹を尻目に、ヨコヅナサシガメが歩き回っています。

この様子だと倒れてしまう恐れがあるので、根元から切られてしまうかも。(この少し先のネムはそうなってました)来年またここで見られないかも知れませんが、ヨコヅナ君に名残を惜しんでも意味無いじゃん!!ってことで

奥の公園に向かって歩きます。

公園です。

郊外にありがちな住宅地脇の、長閑(のどか)な公園。

桜の季節なので、人出が心配でしたが、案外桜は少なく、かといってムシ探しに困るほど少なくない。

そんな公園では、ご近所と思われる数組の家族連れがのんびりと午後の一時を楽しんでいました。

元々あったアカマツがすべてやられ、この左奥に新しく植栽された一画があります。それを守るためでしょうか、薬の匂いがぷんぷんしていました。子供達への心配は無いんだろうとは思いますが、少し不安です。

視線を戻せば、こんな感じ。

公園を管理する方にはとんでもないことですが、スギが好い具合に食害されています。

私達にはむふふな状態のスギがそこここに。花も末期らしく開き切っていましたので、花粉症も大丈夫。

寄って見ればご覧の通り。

脂(やに)もたっぷり出ていて、典型的な楕円形の脱出口が足元からほぼ目線の高さに集中して開いています。新鮮なものは、入口付近の穴の茶色が鮮やかです。こんな樹の幹のぐるり、もちろん手の届く範囲で、樹皮の浮き上がりを探してみます。判り難いときは指でそっと押したり、軽くトントンと叩いてみると、潜んでいる場所が探しやすくなります。

ほどなくスギカミキリ発見。

多くは下側にめくれている樹皮に隠れています。その幹側で頭を下にして潜んでいますが、このように樹皮側についていることもあります。

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こちらは、教科書通り幹側にいますが、姿が見えています。個体数が増えると潜む場所が限られるためか、こんな風に半身が見えていることもあります。

リンゴカミキリの枝もそうでしたが、一度見つかると、“目ができる”のでしょうか、案外簡単に見つかるようになります。

それでも見つからないときは、生息数そのものが少ないか、時期がずれているため、と断言できるくらい、簡単に見つかるカミキリムシです。

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黒助君と眼が合いました。

スギカミキリの多くは上翅に4つの斑紋が見えますが、変異が多く、このように斑紋が消失してしまう個体も見掛けます。

斑紋(ほぼ)消失型。

上の個体を手に取ったところです。

翅端に茶が残り、上部の斑紋が小さく残っていますが、ほぼ黒化しています。

こちらは、やたら翔ぼうとしていた個体です。上翅がやや変形しています。その所為なのかどうかは不明ですが、活発に動きまわり、盛んに飛翔しようとしていました。

昼間は比較的おとなしく、発見後もそのままの姿勢でいるか、近くの隙間に潜り込もうとする程度で、飛翔しようとするのは珍しいです。

こちらは翅端以外完全に黒化しています。

この近辺は斑紋消失型の比率が高いのかも知れません。

 

実は、今日はスギカミキリはおまけで、あるカミキリの幼虫を探していました。

都市近郊や港のある市街で良く見かけられるそうで、町中でも灯火に来る移入種です。もったいつけるようなものではないのですが、この付近では10キロほど南東で記録がある程度だそうで、私達は昨年つくば野でアカメガシワの材から一頭の羽脱を確認しました。

今年つくば野のイヌザクラにこのカミキリのものと疑われる食害痕を見つけ、こりゃかなり定着してるんじゃないの!?それなら、つくば野よりはずっと報告された場所に近い、この場所も探ってみようと思ったわけです。

いろいろな樹種に入るようですが、確認済みのアカメガシワはここには無く、何種類かの桜がありましたので、手の届く範囲でチェックしてみました。怪しい数ヶ所を確認し、枝を数本持ち帰ったものの、確信には至りませんでした。もう少し調べてみる必要がありそうです。

 

・・・・そんなこんなで、その他のおまけです。

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リンゴカミキリの終令幼虫。

斜めカットの枝を見つけたのですが、いかにも栓が古く、羽脱できずに残った昨年のものかと思い、念の為先を削ってみたところ、5センチほどのところで、頭部が見えました。

このまま持ち帰ります。

こちらは桜の蘖(ひこばえ)から出た蛹です。

蘖の樹皮裏をら旋状に食い進み、中に入ったような痕跡がありました。このまま持ち帰って、無事羽化してくれるのを待つことに。
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08/04/09シナノクロフカミキリが羽化しました。

 

今回の宿題的なこと・・・・

 

幼虫の食い進み方と栓、ウ○チの関係性をしっかり見定めたい!

好んで食害する樹種もまったく判ってないぞぉ!!

・・・あれ、これじゃまったく手付かずと一緒ですね。

ここにも居るはずと信じてまた探索してみようと思います。

 

 

消化不良気味ではありますが、カミキリの姿も見られましたので、

本日は機嫌よく終了とさせていただきます。

ぱっとしない記録に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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