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有り難くないアシナガおじさん

2008年5月9日・17日 奥秩父の余韻もさめやらぬままの定点観察は・・・

  ほぼ完璧な連続三振でありました。

  面白系では、日本全国津々浦々人気沸騰(?)大ブレーク中の

  ツツジコブハムシ(ムシクソハムシ)が出てくれたのが救いでした。

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いつもの場所のチェックです。

こんなに虫がいないのにアップしても良いものかどうか、普通迷わず却下ですが、良い時だけ記録すると言うのも記録じゃないし、何より、そんなことしてたら、ネタが無くなってしまう、という懐事情もあります。(先日も言い訳してたっけ)

そうは言っても、本当にカミキリが出て来ないので、今回は5月9日、17日の二日分を合体させています。

粗朶(そだ)です。

カミキリがやって来る前に、乾燥だけ進んでしまいそうですが、17日にヒメクロトラカミキリが歩いていたのがせめてもの救いかも。。。

左側にスギとアカマツの伐採木が立て掛けられており、アカマツは腐朽が進んでいます。せめてヒメスギでもいてくれないか、と覗き込みます。

ウバタマムシ@17日
(拡大画像ありません)

むひひ、ちょっと良い虫が出てくれましたね。

もう少しましな材につくものと思っていましたが、今にも朽ち果てそうなアカマツの材に取り付いていました。この材から羽脱したものかも知れません。

ウバタマムシ背側

なかなかシックでオッケーです。

初夏のウバタマムシ(マツ)、真夏のヤマトタマムシ(エノキなど)。どちらも毎年逢っておきたい虫です。普通の里山環境があれば何の問題も無く棲息してくれるはず。・・・です。

ウバタマムシ腹側

ケースを動かしたところ擬死(ぎし=死んだふり)したため、折角なのでお腹側をパチリ。

腹端が凹んでいませんので、♀ですが、まさかあんな古い材に産卵に!?

以前、樹皮も剥がれ、削れて形も崩れていた材から多数の羽脱を経験していますので、可能性は高いです。

前肢(脚)の爪なんか“萌ぇ〜”ですよね。

粗朶(そだ)の後ろ側は“伐採ゾーン”になっています。

先月27日には、切株にウバタマムシやエゴシギゾウムシがやって来ていましたが、今は乾燥も進み、ハエなどの小虫(こむし)とその小虫を狙うカエルが鎮座しているくらいでした。

ハグルマトモエ(多分)
※オスグロトモエの♀に似ています。

そんな開けたところにぱさぱさとやって来て地面に降り立ったのが、このトモエガです。こういったところで、こういった翔び方(降り方)をする蛾は中型〜小型のものが多いのですが、これはなかなか立派なサイズです。

少々スレはありますが、“無問題”な美しさをしっかり見せつけてくれていました。

伐採ゾーンの少し先に、大きなミズキがあります。

9日には見事に咲き誇っていて、掬ってみると

アシナガコガネの団体様です_| ̄|○

いくら何でも多過ぎだぞ!

で、同じミズキの19日の様子です。

花は終わっているように見えますが、小虫が集まっていますので、一応掬ってみようかと

あ〜!

何だ何だ何だぁ〜!!!

増えてるじゃん!アシナガコガネ。

アシナガコガネ@9日

こんな風にいてくれるとなかなか良い甲虫なんですけどねぇ〜。君たちぃ!

ベニカミキリ@17日

そんな喧騒というより、擦った揉んだの中で頑張っていたのがベニカミキリです。9日にもいました。栗が咲き出せばそちらに集まるのでしょう。

他にトゲヒゲトラカミキリ(9日)もクタクタになりながら、ミズキに訪花していました。

アカガネサルハムシ@9日

美しい大型(といっても5ミリ以上10ミリ未満)のハムシですが、まだまだ撮り切れません。

林床の直射の差さない下生えにいました。

主に葉の上や葉柄にぽつりぽつりと、宝石を散らしたように取り付いています。薮蚊のシーズンまでにはいなくなってしまいます。

アカガネサルハムシ@17日

9日よりも少し数は減っている印象でしたが、まだ多くを見る事ができました。

室内でデフューザを使い、思い切り絞って撮影しています。大分雰囲気が出てくるようになりましたが、まだまだ。

林床で比較的簡単に出逢えますので、是非ご覧になってください。宝石のように美しいハムシです。

再び伐採ゾーン脇です。

放置された躑躅(つつじ)がありました。

これまで、いろいろなところを覗き込んでみましたが、花を楽しむものなので、薬を撒かれてしまう事が多く、出逢いがありませんでした。雑草に囲まれ窮屈そうです。これは世話されてませんね、間違いなく。

むひひ(^ε^)ゞ それらしい食痕もあるじゃないですかぁ!

実は枝先に3頭ほど姿を確認し、取り込もうとしたのですが、見事に落下してしまいました。なので、当りをつけて叩くことにしました。

落ちてくれぇ〜!!!

・・・ぽとり(叩き網に落ちるとゴミか、うんちか、虫か、見分けるのは大変です)

ツツジコブハムシ@19日

躑躅瘤葉蟲、良いですねぇ。いわゆるムシクソハムシ関係者。歩く芋虫のうんち。どうですか、この神々(こうごう)しいまでに見事なお姿。3ミリあるかないかの大きさです。真正ムシクソハムシは、採り手が何度かネットで掬ってくれた事がありますが、ツツジコブハムシは身近にいるはずなのに、なかなか出逢えませんでした。

良い虫が出てくれたにゃあ。これで納得して戻れます。

 

両日とも時間の制約の中、チラ見のような散漫なフィールドチェックに

なってしまいましたが、毎年何度も何度も通っている定点でも新しい出

逢いを経験することができるのは嬉しいものです。反面ここ数年の劇的

な環境の変化(もちろん人為的なもの)がとても気にかかっています。

ここは観光地でもあるわけで、整理は当然ですが、キクスイカミキリの

楽園だった場所は徹底的に刈り込まれて、彼らのベストシーズンでも、

膝に足りないほどのセイタカアワダチソウやヨモギが、ぽつりぽつりと

風に揺れているだけという、私達にとっては淋しい風景でありました。

でも、また来ますよ。すっかり更地にならない限り。原点ですからね。

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