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秩父天牛プチオデッセイ2008〜1/2

2008年8月10日 埼玉県:すべてが噛み合わなかったはずが・・・

  霊験灼(あらたか)『ハチトレの日』伝説。ほんとに採れちゃった!

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メチユテミモᆬミ￘

長い盆休みの2日目。暑い日が続きましたが、今日は曇りがちで、少しばかり気温も低いようです。『もう少し暑いくらいの方が良いかもね』などと話しながら、秩父に向かっています。

今年は日程が噛み合わず、半端な時期に訪ねることになってしまったのですが、それはそれで初めての季節でもあるわけで、『行けば何かいるんじゃない!』的な消極的前向き姿勢で出掛けました。

ざかざんっ!

ラ￑モᄍ

やって来てしまいました。曇りとはいえ山は気持ちが良いです。長い道中の疲れも、都市生活?のストレスも消え、俄然積極的になっていることに気付きます。

ただ、厄介なのがアカウシアブ類で、排気か熱か、多分両方でしょう、車から降りた途端、追っても追っても付き纏ってきます。撮り手は販促に貰った小型の団扇(うちわ)で、ピシ!ばし!と叩いたりしていますが、それでも駄目なときは採り手の“ネット一閃”に頼ることになります。

 

アブの多さだけは変わらないことを確認し、いつもの林道を登りながら咲き残った花を探しますが、昨年楽しませてもらったノリウツギはすっからかんに終わっていて、僅かに膜翅目が舞う程度、少し登ってアオカミキリやフタコブルリハナがやって来たリョウブを目指します。

テハテヌテEテu

残念ながら件(くだん)のリョウブはすっかり枯れていましたが、山側斜面の崖にポニョっと小さなリョウブがありまして、陽当たりが悪かったためか、上手い具合に咲き残っていました。ここで標高800メートルくらいです。

もひとつ上手い具合に、崩落防止のコンクリート壁を経由して、危険を感じることも無く辿り着けます。

・・・下は見ないようにして、慎重に掬います。掬うのはモチロン採り手ですけど何か?

小虫は翔んでいるし、取りあえず何でも良いからカミキリ入ってね!と、採り手が掬うのを見ていると・・・

 

何だかちょっと大きめな影が

テIテIテネテcテXテWテnテiテJテ~テLテハチノ

キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!!

登って早々です。

オオヨツスジハナカミキリ.netでありました。

しかし、足場も悪く、花も貧相。おまけに陽当たりが悪い(つまり、アピール度の低い)ところにあるためか、続きません。粘っても仕方ないので、ここは潔く、移動.com(“るどるふ語”を無断借用してしまいました<(_ _)>)

 

我が家では、時間にゆとりがあっても無くても、土地勘の無いところではある程度範囲を決めて行動します。そして、花、材などポイント候補が見つかったら、まずルッキング。怪しい時にはスウィーピングやビーティングしてみます。一箇所だいたい5〜15分でしょうか。よほど有望と感じたり、いろいろな種類が立て続かない限りは移動してしまいます。そうして何ヶ所かをチェックして、その日の重点ポイントが決まったら(そうそう上手く決められないんですけど)、再度チェックしながら戻り、1〜2箇所で粘ってみるというパタンが多いです。

手慣れた方ならば、その場その場で判断し、見切りを付け、時間を有効に使って広く深く探索することができるでしょう。状況判断が覚束(おぼつか)ない我々は、往復したり巡回したりすることで、時々の判断と、実際のフィールドのズレを確認することが可能になります。近道ではなさそうですが、こうすることで、次に同じような状況に遭遇したときのブレを少しずつ減らせるのではと考えています。

ヘ￞メuツᆱマ↑

廃材に交じって材がありました。

当然のようにブリーフストップ。

テヒテハテ{テVテJテ~テLテハ

ルリボシカミキリ

このカミキリに逢いたくて秩父まで泊りでやって来るようになったのが、05年の8月でした。お陰で今ではお馴染みさんになりました。

幸せな話しではあります。

見馴れたとはいえ、美麗種の代表であることに変わりありません。

のろのろ運転ながら、少しずつ標高を上げていきます。

テcテKチHツᅩモ|ヨ￘

今まで見たことも無いような太い倒木がありました。車を通すためにとりあえず脇に除けただけ、という印象です。

樹皮の鱗片?が縦長なこと、宿の方のお話しなどから、ツガと思われます。

こちらに向いている表面はカラカラに乾いていますが、裏に水があるので、日陰の部分は少し湿度が保たれています。斜面には広葉樹の倒木が長く伸びていますが、樹種は判りませんでした。

テIテIテネテcテXテWテnテiテJテ~テLテハチハ

この巨大な倒木にフワリとやってきたのは、立派なオオヨツスジハナカミキリの♀でした。

『でかいなぁ〜』

『さすがだよなあ』

花掬いでは♂が多いため、♀は嬉しいです。体型のほか腹端も特徴的ですが、前胸背と頭部が茶色なので、判り易いです。

テAテJテnテiテJテ~テLテハ

アカハナカミキリも産卵に訪れていました。(写真は別の材の個体です<(_ _)>)

晩夏のカミキリの代表でしょうか?低山から山岳地帯まで、広く分布します。

それなりにスタイルも良く、色も美しいのですが、数も多く見馴れてしまうのが玉に瑕です。

テEテXテCテヘテgテノテJテ~テLテハ

長く縦に延びた広葉樹の倒木には、ウスイロトラカミキリが闊歩していました。

採り手曰く『数える気がしなくなる』ほどの数だそうですが、撮り手には下方の個体を目視するのが精一杯でした。

大型の一頭を選んで連れ帰ります。

 

それにしても、花が少ない・・・のではなく、終わっているので、

更に標高を上げますが、ところどころ寂しそうに残った

ノリウツギに、集虫力はありませんでした。

テハテヌテEテu

標高1200メートルを超えたくらいから、しっかり咲き残った花がが見つかるようになりましたが、規模が小さかったり、ロケーションが良くありません。

その中で目を引いたのがこのリョウブです。林道のすれ違い退避所の裏にあったため、周囲も開けていて、虫から見ても目立つこと間違いありません。

ここは少し粘れるかも

テ}テヒテKテ^テnテiテJテ~テLテハ

マルガタハナカミキリ

期待通り、カミキリが集まっていました。オオヨツスジハナカミキリもやって来ていましたが、ヨツスジハナ、アカハナカミキリも多かったです。

オオヨツスジハナは嬉しいものの、種類が増えないため、復路にもう一度じっくり掬うことにして、さらに先に進んでみることにしました。

 

ブナも多く見掛けられた斜面です。低山のように下生えが蔓延(はびこ)っていず、落ち葉が積もっています。採り手はブナの根周りなど、“気になる樹”をチェックしにスタスタと登って行きます。撮り手・・・?いつもの通り下からパチリ、なのであります。

ホRツᅩホᅫヨᅧ

『もう何本か見てくる』などと言いながら登っていってしまったので、『あまり深追いするなよぉ〜』と声を掛けて、休憩モードに突入してしまった撮り手です。

ほどなく、採り手が戻ってきまして。

『やばい。爪痕が半端じゃないよここ』

『三本線?』

『うん、あちこちに沢山ついてた』

ここからずっと下、集落の外れの宿のすぐ裏にも新しい爪痕があるんですから、当然ですね。

カミキリの痕跡は確認できませんでしたが、熊さんの棲息は確認できた訳です。

ラ￑モᄍ

その後粗朶を覗いたり、花を見上げたりしながら、とうとう1600メートル付近までやって来てしまいました。この林道で1000メートルを超えたのは足掛け4年目にして初めてでした。これ以上進むと、先ほどのリョウブの花で日が暮れてしまいそうですので、付近をチェックして戻ることに。

テzテ\テcテcテハテモテSテJテ~テLテハ

ホソツツだ!

下生えをチェックしていた採り手が、思わず声を上げました。

ホソツツリンゴカミキリです。

出逢えそうでなかなかご挨拶できなかったカミキリです。

ナイスですねぇ〜

 

三矢サイダーではありませんが、

時々どきどき!?

・・・な、カミキリ探しは続きます。

テxテjテoテnテiテJテ~テLテハ

ベニバハナカミキリ

山に日が隠れる前にリョウブまで戻ってくることができ、オオヨツスジハナも相変わらず訪れてくれましたが、まさかこの時季ここで、ベニバが得られるとは!筑波山の栗の花以来、久し振りの再会でした。

 

更に掬っていると、何やら大きな影が花に。

撮り手にもはっきり影は見え、下から竿を伸ばす採り手に『もう少し上!もうちょっとだけ!!』と、位置を教えます。掬ったネットの中央やや上に影が入ったのが確かに見えました。

『入ってる入ってる!!』

竿を畳み、ネットを覗き込んだ途端

『わぁああああ〜〜〜

やったぁあああああああああ!

熊も驚く大発声でありました。

テIテIテAテIテJテ~テLテハ

オオアオカミキリを採ってしまったのでした。

頭部から翅鞘上部 >標本

♪あなたがじぃ〜んと来るときわぁ〜♪わたしもじぃ〜んと来るんですぅ〜♪

大瀧詠一氏の三矢サイダーの歌が、脳内麻薬のように撮り手の大脳新皮質を駆け巡っています。

 

『もう、このまま帰れと言われても、素直に帰っちゃうなぁ』

緑色のカミキリは大好物なので、すっかり満足してしまったのですが、

『池修さんが「8月10日は“ハチトレの日”」って書いててさあ〜、

秩父で採って大騒ぎになっちゃったことがあるらしいよ』

何気なく車の中で採り手が話していましたっけ。

『そりゃあ、いることはいるんだろうけどねぇ〜』

ヘ￞

るんるん気分で、行きにルリボシカミキリがいた廃材に交じった伐採木をチェックしてみました。標高は800メートルを少し超えたくらいでしょうか。

そんな、廃材の赤丸のところに、いたんです。

『へ?コオロギ?でっかい蜂?』あ、

『カミキリだぁ〜!』

今度は撮り手が叫んでました。

とっさに種類は浮かばなかったのですが、

何か素敵な初遭遇種であることは間違いなく、撮り手はすっかり興奮状態。

すぐにやって来た採り手には何者かピンと来たようです。

ねき!

テIテIテzテ\テRテoテlテJテ~テLテハチiテ\テハテ_チj

オオホソコバネカミキリ

上半身 >標本 コバネ部

この手のカミキリの中では最も採り易いそうですが、この林道の上部では『ぱ印』が遥かに有名なためか、あまり噂される方もいらっしゃらないようです。

オオアオに続き、我が家的大事件が2つも起こってしまったのです。池修さんのようにギガンとは行きませんが、我が家にも8月10日(ハチトレの日)だったのでした。

 

日も山に隠れたところで、宿まで下ります。

迷っていた灯火ですが、すっかり元気になってしまったので、

『邪魔にならないところで、スクリーンを張らせていただきたい』と

宿に着くなりお願いしたのでありました。

美味しい晩ご飯をたっぷり堪能したところで雨。

そうそう上手くは行かないよなぁ・・・

それでも展示館(夜は無人)の軒下を借りてライトオン!

モヤノᅫヘᅩマW

雨のためか、虫の集まりは良くありません。

蛾はやって来ますが、甲虫がなかなかです。

それでも雨が小止みになると、来ることは来ます。来ますが、なぜかスクリーンでなく、天井裏に張り付いてしまうのです。

この件については、後日某snsで楽苦さんから非常に参考になる知見をいただき、納得することになるのですが、この時はまったく判っていませんでした。

テzテ\テJテ~テLテハ

ホソカミキリ

予想通りやって来てくれ、天井に張り付いた影からもそれと判る独特なシルエットです。

触角が非常に毛深いのは初めて認識しました。

テVテiテJテ~テLテハ

シナカミキリ

標本

これも、嬉しい予想外のカミキリでした。天井に張り付いた時には小さくて何やら判らず、取り込んでみてビックリでした。スレがあり、右触角も不全のようですが、嬉しい初遭遇です。

 

日程調整に失敗し、しかも1泊しかできないという条件の中、

ホソカミキリとルリボシカミキリだけには逢って帰りたいなぁ

程度でやって来たのですが、こんなに良いカミキリが

採れてしまうとは、これも“ハチトレの日”の御利益でしょうか?

 

時期悪そうだけど、この勢いで天辺の『ぱ印』いってみる?

簡単らしいよ(というは大間抜けの勘違いだったのですが)。

明日の“オマケ”を夢枕に本日は終了です。

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