“アオザイ”か?!苔剥がしのお土産かも 2009年2月22日 茨城県 たまにはクロナガオサムシの顔も見たい! 撮り手の希望で、久し振りに苔(こけ)を剥(は)がしてきました。 |
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気が付けば春もぐんぐんと近づいており、我家のアジサイの芽も開きはじめていました。 少し時間が取れたので、『久し振りにクロナガオサムシが見たぁ〜い』という撮り手の希望で、採り手に付き合ってもらうことにしました。 |
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長年親しんだ駐車場です。 はじめて訪れてから15年以上、当時はよちよち歩きの子供たちに森の遊びをさせるため、家族5人で訪れたものです。採り手とカミキリを追うようになってからも5年ほど経っています。年々森の“自然度”も落ちてきました。それでも毎年新しい発見があるのを楽しみに通い続けています。 |
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クロナガオサムシ探し(今日は苔剥がしで見つけるつもり)の前に周囲の散策です。 良く見かけるケヤキの樹皮です。 ぽろぽろと樹皮を剥がしながら幹を太くしていくのですが、この樹皮裏で越冬する虫も多いです。 |
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裸眼では米粒大の白い斑点にしか見えませんでしたが、ファインダーを覗いて初めてグンバイだと判りました。現場で同定できず、後で検索してみると、移入種のプラタナスグンバイがヒットしました。 > 拡大画像 そういえばすぐ近くに大量のプラタナスの実が落ちてましたっけ。 |
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更に近くの個体を撮影した時に気付いたのがヤノナミガタチビタマムシです。 > 拡大画像 やはり米粒大なのと、樹皮と同系色なので、裸眼では存在そのものが見えませんでした。 撮り手の老眼は相当進んでしまったようです。 |
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撮り手がもたもたとグンバイを撮っているころ、先行していた採り手は食害されたクスノキを見つけていました。 もしかすると、ここにも赤いカミキリがいるかもしれません。シーズン中に確認できると良いのですが・・・ |
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こちらはリンゴカミキリの幼虫が潜む枝です。平面にカットされており、今年の羽脱は無さそうですが、こんな太い枝に入っているのははじめて見ました。
周辺のチェックはこのへんにして、森の中に入ってみます。 |
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・・・・・ まずは駐車場の裏、杉が多いポイントへ ・・・・・ |
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『うわっ、でか!!』静かな森に採り手の声が響きます。 鳥が穿ったと思われる杉の穴を覗き込み『スズメバチ、でかい!』 『お尻の色は?』 暗くてよく見えませんでしたが、ストロボでパシャ!お尻は黄色でした。 大型のスズメバチは2種で、お尻が黒ければヒメ、黄色ければオオということになります。 |
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ちょいと降りてきてもらって撮ったのがこちらです。頭(頬)と複眼の比率を見ると大あごの強さを示す立派な頬が判ります。 初夏から盛夏にかけて、橡(クヌギ)の樹液では普通に見掛けますが、越冬中のオオスズメバチとは初遭遇でした。 ここでは杉に巻き付いたカラスウリからカノコサビカミキリの幼虫が得られたこともありましたが、すっかり整理されてしまい、淋しくなりました。 じゃ、次行ってみますか!? |
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・・・・・ クヌギやサクラの多く植栽されているポイントへ ・・・・・ |
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あら!?カエデに食害痕です。 “オオムラサキの樹”、“アカアシオオアオの樹”、“ヒメスギの運動場”などいくつかのポイントには勝手に名前まで付けるくらい何度も通っていたのに、こんな見落としがあったとは! |
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羽脱口もしっかりあります。 他にも脱糞口や羽脱口の中には、木屑がしっかりこぼれ残っていて“新しいぞ!”と主張しているものまで見られました。 |
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『おとうさんこれ!』 『???』
あらら・ 大きなカエデが転がってるじゃありませんか?! 食害のためか、整理のあと回収を忘れられたようです。杉やシラカシなどでは良く見かけますが、カエデははじめてです。 |
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切り落とされたカエデの幹側の切り口を見てみると、こんな具合です。 『やられてる(^.^)』 見合わせた顔はにやぁあ〜っとしていたはずです。 |
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落ちていた部分の細い方には、このような脱糞口がいくつかありまして、
上端を少し切ってみると |
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土がついてしまいましたが、中が詰まっていません。 あっひょぉ〜ヽ(^o^)ノ |
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一番下にあった脱糞口の更に下も切ってみました。 ぶっひゃぁ〜( ̄□ ̄; 途中に幼虫がいる可能性が高いってことですよねぇ(^.^) 慎重に下の方にあった脱糞口近くを切り、適当な長さに切り詰めました。 |
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なにせ茨城ではアオを見たことありませんから。
生木喰いとはいえ、駄目元でありがたく持ち帰ります。 |
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・・・・・ 更に食害ヶ所をいくつか確認できましたので目標変更です。 |
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クヌギの樹皮にいたナミテントウとクヌギカメムシの卵です。 > 拡大画像 テントウは前胸背が写っておらず、迷いましたが、検索してみたところナミテントウのようです。
採り手は落ち枝立枯れなどのチェックをしていました。 |
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左は羽脱済みでしょう。ヌルデらしい半立枯れの幹から出た枝です。 右はアカメガシワの落ち枝を折ってみたところです。材部に幼虫がいます。テツイロヒメやシナノクロフなら中心にいるでしょうから、サビ系でしょうか?この付近ならアトジロやナカジロの可能性が高いです。いずれにしても当り前のカミキリでしょうが、材からはフィールド初見が出てくることもありますので持ち帰ります。 |
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一方こちらのアカメガシワの落ち枝は、材の中心に潜んでいて、自ら枝を落とし、木屑を詰めたようです。 (東京や神奈川では、町に棲むといわれているらしいですが)この辺ではあまり多くないテツイロヒメカミキリを期待して、持ち帰ります。期待通りなら、アオ材の次に嬉しい収穫となってくれるはずです。 |
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・・・・・ おいおい!今日の主題(テーマ)は 苔剥がしでクロナガオサムシじゃなかったのかよ! はい( ̄^ ̄)ゞそうなんです。 |
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林縁というか、裏の茶畑の外れに良い具合の苔があります。 崖と違い、苔剥がしは『現状復帰』がし易いこと、ポイントを探しやすく、剥がす時の力も要りません。しかも越冬昆虫を元に戻すのが楽ちん。 というお手軽さ加減も絶妙です。 |
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越冬中のクロナガオサムシです。 > 拡大画像 採り手がすぐに出しました。ツクバクロオサムシやアオオサムシと違い、エリトラ(翅鞘)、特に前胸背は土で汚れています。表面の構造が違うのでしょう。 ここでは何頭も集中しており、撮り手も珍しく自力発掘もできました。2頭だけ持ち帰りましたが、他にはゴミムシが少し出ただけでした。 |
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あ、そうそう、アカマツにはノトリナ(ケブカヒラタカミキリ)のものと思われる羽脱口も確認でき、薮蚊終盤の頃には訪れてみたいポイントがひとつ追加されたのでした。 無事目的(ちっせぇ!)も達成したことですし、結果はともかくアオ材らしきも確保できたので、幸せの気分で撤収したのでした。 |
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焦点の定まらない、あまりパッとしない採集記となりましたが、 私たちにとっては(何年も見落としていたことを差し引いても) アオカミキリの存在を臭わせる新しい発見がありました。
しかし半端な写真一枚撮っただけで同定できず、 こちらに掲載できなかったゴミムシもいまして、 引き続き課題の多さも痛感したのでした。 |
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