KEI's昆虫採集記:採集記録バナー

注(虫)力?惰力?チャイロヒゲビロウドカミキリに初遭遇

2009年06月20日 茨城県で初遭遇を・・・・・嬉しい2年越しの達成でした。

いわゆるひとつの[なぁあんだ〜、ビロウドカミキリじゃん?!]なわけですが

そこはそれ、そんなところもマニア心を擽(くすぐ)ったりするのであります。

ユズリハ

関東近郊では、公園や工場の敷地にありがちな植込みです。

左端、中央、右端にあるのが探索対象になるユズリハです。

一般的な照葉樹の葉と比べてみると緑が濃く見えてますね。

 

【不確かな注釈】

葉は相当大きいのですが、(季節の所為?)殆ど垂れ下っていないことや、

葉柄の赤味が目立たない、葉裏の網状脈(もうじょうみゃく)と呼ばれる

模様の見え方などから、ヒメユズリハの可能性もあると考えています。

ユズリハ

枝の上部に葉が丸く集まるのですが、若い葉が生長して開くと、下の方にある古くからの葉は、まるで陽当たりの良い場所を[譲る]ように枯れ落ちるため、ユズリハと呼ばれるそうです。

実際は、陽当たりが悪くなり養分を作り出せなくなった葉は落とされて行くのでしょうけれど、なかなか判り易い名前ですね。

大量の木くず

冬の間にこんな[木屑]を確認し、幹には丸い羽脱口もありまして

 [こりゃいるぞぉ〜!]

 [いるよなぁ〜(^^)]

6月になって[もう出てるよん!]と関東南部の情報をいただき、[ってことは茨城南部〜西部だと6月中旬からだな]ということで、先週(ぼーず)に引き続きチェックにやって来ました。

羽脱口から樹液

どれどれ!?

クモの巣や、もうしっかり活動しているヤブカの攻撃にもめげず樹下に潜り込むと、新しそうな羽脱口からは樹液も出ていました。

大量の樹液

冬場にはまったく見られなかった(当然ですけど)大量の樹液が、あちこちから流れています。しばらくルッキングしますが、なかなか見つかりません。

[蹴ってみよか!?]

[じゃやってみて]

どかん!採り手の前蹴り一閃!

ぼとりっ(音が重たいぞ)

ノコギリクワガタ♀

りっぱな体格のノコギリクワガタ♀が落ちていました。

他に小歯型の♂も見掛けましたが、クヌギなどの[大規模樹液酒場]が本格営業するまでは、貴重な栄養源なのかも知れません。

 

[羽脱口はあるしさぁ]

[いるはずだけどにゃあ]

探索を続けます。

部分枯れしたユズリハ

こんな風に枯れている部分を中心に見上げているのですが、なかなか手強いです。

探索することしばし・・・

[いたぁっ!!]

採り手の発声に見上げると、手の届く高さに下っている枯れ葉の裏から、触角が出ていました。

[採っちゃっていい?]

[採っちゃって採っちゃって!]

チャイロヒゲビロウドカミキリ

チャイロヒゲビロウドカミキリ♂です。

いやぁあ、なかなかどうして良いカミキリムシ・・・といっても長い触角の第1節は確かに膨らんでいて、前肢(脚)の脛節も微妙に曲がってるだけ?
こだわりの無い方にとっては、ビロウドカミキリですね。

> 拡大画像 

実際、このちょっとした差を拡大解釈するのが、趣味の世界でして・・・

チャイロヒゲビロウドカミキリ

♂の頭部です。

カミキリそのものと茨城県にもこだわりのある私たちにとっては、どんな些細な違いでも、大きな喜びなのです。

『判る判る』というあなた。きっと同じ遺伝子をお持ちのはず。何処も同じ、趣味の世界の共通DNAです。

> 拡大画像 

チャイロヒゲビロウドカミキリ

ユズリハに付くチャイロヒゲビロウドカミキリ♀です。

♂をつまんだ時に、予想外に[おっとり]していたので、今回は枝に取り付き何やらカジカジしている♀の写真撮影ができました。

> 拡大画像 

実際には相当活発で、人の気配に敏感に落ちるだけでなく、飛翔してしまうこともあるそうです。もしかすると数がいたのに逃してしまっているかも?

チャイロヒゲビロウドカミキリ

これでも十分長いですが、♀の触角は♂に比べると明らかに短いです。

上翅(体)は途中までほぼ並行で、後半部になって狭まります。

翅端の先端はわずかに切り取られたように、直線的に見えます。

> 拡大画像 

チャイロヒゲビロウドカミキリ

チャイロヒゲビロウドカミキリ♀の頭胸部です。

♂との違いは私には見てとれませんが、なかなか見事な造形です。

> 拡大画像 

 

たった一種狙いでしたが、我が家的には久し振りの大ホームラン的採集なのでありました。

 

昨年、関東でそれなりの数を確認されていらっしゃる方々が

このカミキリムシがユズリハに付く、という衝撃的な事実に併せ

食害や生態など貴重な情報も公開されているのを眼にしました。

 

[ユズリハなら結構見掛けるよねぇ〜] [調べてみる?!]

[茨城県の報告は見たこと無いけど、間違いなく居るでしょ!]

と、冬の間に心当たりを数ヶ所確認して巡っていました。

 

その後も肌理細かくサポートしていただき、

お陰さまで、無事茨城県産確保できました。

 

本当にありがとうございました<(_ _)>

KEI's昆虫採集記:ホームページへ

inserted by FC2 system