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[希少種ラベル]無用。身近にいて欲しいトラフカミキリ

2009年08月15日 栃木県:過去2回見事に空振りした盆参りのトラフカミキリ。

3年越しに新しい棲息ポイント確保です。

2009年08月15日の採集記バナー

07年、08年はアカアシオオアオカミキリに力を入れたこともありますが、

ここ栃木県南部ではトラフカミキリに出逢っていません。

減る一方の桑畑とともに、魅力的なカミキリムシの姿も見つけ難くなっています。

毎年訪れるのが8月15日と遅めですが、盆参りなので仕方ありません。

今回はポイントを探して今までとは別方向をチェックしてみました。

里山風の公園

栃木市と小金井市を東西に結ぶ道は、思(おもい)川、姿川が南北に走り、多くの里山が残されています。

数年前から“下野(しもつけ)市”となった姿川のほとりの里山(元里山の部分を残して公園に仕立てた?)にやって来ました。

クヌギ、コナラ、エゴ、ヌルデなど、どこにでも普通にある樹種の森に、歩道が整備されています。

エゴ

取り付き付近にあったエゴノキです。

実が鈴生(な)りでしたが、すでにエゴヒゲナガゾウムシの姿はありませんでした。

ふと視線を下げたところ、胸より少し低い位置に大きなカミキリが取りついていました。

ゴマダラカミキリ

ゴマダラカミキリです。

樹皮を噛っていたので、産卵行動かな?と思ったのですが、この触角の長さは♂ですので、樹皮の後食のようです。

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ゴマダラカミキリ

このカミキリも写真が少ないので、正面からも一枚ぱちり。

> 拡大画像 

遊歩道から見たクヌギ

撮り手がエゴでもたもたしている頃、採り手はすでにクヌギを掬いはじめていました。

土手の遊歩道に立てば、3メートルかもう少し高いところがゼロポイントになりますので、ネットが高みに届く寸法です。

クヌギを掬うKEIZI

おっ、やってるな(´▽`)

アカアシオオアオカミキリ

アカアシオオアオカミキリ

しっかり太さのある♀です。発生末期ですが、あまりスレもないようで、綺麗な個体でした。少し小型の♀も入りましたが、♂はネットインしませんでした。

> 拡大画像 

クヌギシギゾウムシ

クヌギシギゾウムシ(多分)

口吻の先は欠け、右後肢(脚)も腿節の途中から失っていますが、それなりに元気でした。

クヌギからは他にカナブン以外は甲虫は入りませんでしたが、里山での目標は達成できたので、トラフカミキリを探しに移動します。

夏雲

夏雲が輝く空の下、今まで確認できたところとは逆方向、少しだけ北に回り込んで桑畑を探してみます。

桑畑

15分も走らないうちに桑畑が見つかりまして、様子を伺いながらゆっくりと走り抜けようとすると

 

[いた!ペアだ]

 

[おいおい、見えてんの!?]

トラフカミキリ

トラフカミキリ

採り手を下し、近くに車を停め、戻ってみると、両手に一頭ずつしっかり摘んでいました。

[良く見えたねぇ〜!?]

[桑畑で蜂が見えたらこれじゃん!]

確かにそうだよねぇ(∩_∩)ゞ

左が♀、右が♂ですが、外観に大きな差は見られません。

桑畑

かなり規模の大きな桑畑でした。

持ち主か、関係者がいらっしゃればご挨拶するつもりで、周囲を見渡しましたが、見当たりませんでしたので、踏み荒らさぬように探索を開始します。

桑畑

手前に比べて車の向こう側の方が刈り込みから時間が経っていて、枝が伸びています。

隠れやすい奥の方に多く居るのかもしれませんが、刈り込み直後の手前の方が見通しが良く、探しやすいので能率が良いです。

トラフカミキリ

トラフカミキリのペア

車の手前側で見つけました。葉が茂っていないので、写真も撮りやすいです。

> 拡大画像 

トラフカミキリ

産卵をはじめたトラフカミキリ

上の写真を撮っていると、♀がついと前に進み出て、産卵をはじめました。

♂は追うことも立ち去ることも無く、その場を動かずいました。

> 拡大画像 

トラフカミキリ

葉上のトラフカミキリ

産卵している姿をアングルを変えて撮影しようと右往左往していると、翔び立ってしまいましたが、近くの葉上に降りたところをぱちり。

ここまでの♀の写真は3葉とも同じ個体で、右後肢(脚)脛節端に赤いダニがついているのがご覧になれるでしょうか。

> 拡大画像 

ということで、新しい生息地も確認でき、

写真も撮れたところで、早めに退散です。

何せお盆の上りは渋滞しますからね・・・

エビガラスズメ

ほぼ例年通りの流れで、想像より悪くないなとほっとしていると、常磐道が事故で車線規制されており、採り手と二人、家族とは別の夕食を摂ることになってしまいました。

その夜、我が家の暗い門灯にはエビガラスズメがやって来たのでした。

> 拡大画像 

> 別画像 

 

トラフカミキリの希少種化は止められる?

   文献などによると、桑以外をホストにしている記録もあるようですが、

   実際には桑だけに依存しているように思えてなりません。

   山地でのヤマグワで得るには結構苦労するようで、今なら里に残る桑畑で

   比較的容易に出逢う事ができます。

   しかし、桑畑は年々減っており、トラフカミキリが[身近]でいられる

   状況でないことは間違いありません。

 

   他方、細やかながら希望になりそうなのが、健康、自然嗜好の高まりと

   定着です。奇(く)しくも京都方面で仕事をしている長男が持ち帰った

   土産が“桑の葉茶”でした。

   [この手があるかも!?]

   何やら高級そうな包みに入った桑の葉茶(昆布茶のような粉末でした)を

   見ながら、桑畑の生き残り、つまりトラフカミキリの生息地保存の希望が

   少しだけですが、残されているように感じたのでした。

 

   これからは、桑の葉茶を積極的に消費し、他人に薦める生活に????

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