KEI's昆虫採集記:採集記録バナー

千葉でもチャイロヒゲビロウドを!?

2010年06月26日 県初チャイロヒゲビロウドカミキリ、そしてアオカミキリ定着を確認したぁ〜い。

昨年は発生期に[ピント]が合わなかっただけと信じて、確保に向かいました。

2010年06月26日の採集記バナー

昨年茨城県産を確保したときに、特有の食害の様子などもインプットされましたので、確信はしていたものの、やはりこの目で見ないことには、はじまりません。

うまい具合に、家族そろってbento〜でも食べましょか!?犬を広いところで散歩させるのも悪くないでしょ?などと奥さんも連れ出すことに成功。つまり私は無銭飲食ができるのでありますσ( ̄0 ̄)ゞ

土筆
 

娘が[土筆]と名付けた小型犬ですが、これを小型犬といっていいのか!?というほどスクスク育ち、同じ犬種と出逢っても、半分くらいのサイズしかない相手の方が成犬だったり、ということは茶飯事になっています。

阿呆だ!と主張する私に対し、当然名付け親と育ての親は[イイコだよ]と主張しますが、まぁそれはそれとして、奥さんの決定的な運動不足の解消には大いに役立ってくれていることは間違いありません。

マテバシイ
 

そんなわけで、奥さんと娘は犬の散歩。

KEIZIと私は、めでたくもマテバシイ経由ユズリハ。そして、食害を確認しているイタヤカエデポイントを巡る運びとなりました。アオカミキリとチャイロヒゲビロウドカミキリの2種に絞って探索します。

昨年アオカミキリを得たマテバシイは、盛りを過ぎているものの咲いているようです。昨年に比べて天辺が無くなっている様子ですが、近づくと独特の花の香りが流れてきます。

マテバシイの花
 

マテバシイの花です。

まだ[集虫力]は保っているようです。

目に付くのは、2枚または4枚の透明な翅を持つ虫たちです。そして、意外と紛らわしいのが、視界の隅を過(よぎ)るトンボ類です。明るい空をバックに飛翔するトンボの姿に思わずはっとして、目で追ってしまいます。

残念ながらアオカミキリの姿は無く、ここは潔くユズリハ方面に向かいます。

食害を受けたユズリハの幹
 

ユズリハの幹はご覧の通り明らかに食害されており、中にはだらだらと樹液を出しているところも見られます。

まずはセオリー通りルッキングです。

半枯れのユズリハの枝先
 

特に注意して見ているのは、このように不自然に葉が萎垂(しなだ)れた枝です。

このような状態の後、茶色く枯れ、そこにチャイロヒゲビロウドカミキリが潜んでいることが多いからです。

幹の羽脱痕と枝先の萎垂れはセットで見られますので、カノコサビカミキリのように、自らこのような加工をして枯れ部分に潜み、後食するのではないかと考えているのですが、実際はどうなんでしょう?

ユズリハを掬う
 

枯れ部分も含め、目視では見つけられなかったので、怪しいところを掬ってみることにしました。

掬い始めてすぐに成果は出ました。

無事ネットに収まるもの、ぽとりと落ちて枯れ葉や土に紛れてしまうもの、そして[意外なほどの飛翔力]で、地面に落ちる前に、ひらりと翔び去ってしまうものもありました。

チャイロヒゲビロウドカミキリ
 

チャイロヒゲビロウドカミキリ

同色とはいえ、大型のカミキリムシが落ちれば明確な音がしますので、探索範囲が絞りやすいのがこちらの有利なところで、ほどなく地上の枯れ葉にしがみつく個体を見つけることができました。

コンパクトカメラで正面からスピードライトを炊いたため、実際よりも[ビロウド感]が強調されていますが、あまりスレも無く美しい個体でした。

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チャイロヒゲビロウドカミキリ
 

チャイロヒゲビロウドカミキリ

上の写真とは別個体です。この角度で見ると触角第一節の見事な膨らみが良く判ります。

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チャイロヒゲビロウドカミキリ
 

チャイロヒゲビロウドカミキリ

触角の各節は先端近くが、ひょい!と膨らみ、次節を包むような印象です。前肢(脚)の脛節の湾曲も心なしか強く感じます。

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これで、千葉県産チャイロヒゲビロウドカミキリ初採集という目的の一つは果たせました。

次はアオカミキリの定住確認です。昨年得られたマテバシイには振られてしまいましたので、発生木と思われるイタヤカエデとその付近のアカメガシワの花をチェックしに向かいます。

アカメガシワ
 

公園の裏手というか奥というか、道に沿ってアカメガシワとカエデが並んでいるところがあります。

アカメガシワはそれなりに咲いているようです。

よしよし・・・それでは、と私は隣のカエデをチェックしてみます。昨年はまだ生きてたようですが、キスジトラカミキリが盛んに産卵していた樹です。

数は少ないもののキスジトラカミキリはやはり産卵しに来ていましたが、カエデは完全に立ち枯れてしまっていました。

エゾオナガバチ
 

エゾオナガバチ
  △(誤同定のため修正)
オオアメイロオナガバチ

カエデの幹をのぞき込んでいると[ぶぶぶぅうん]と大きな羽音(“周羽数”が違うので、この時点で好戦的な蜂ではないことは判りました)がしたので、振り返ると巨大な寄生蜂がカエデの幹の周りに数頭舞っていて、やがて産卵し始めました。このサイズの蜂がまさかキスジトラの幼虫に産卵???

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アカメガシワを掬う
 

私がもたもたしていると、KEIZIはすでにアカメガシワの花を掬っています。

掬っているあたりから、多くの花粉が飛び散り落ちてくるのが良く見えましたので、そこそこの好物件だったようです。

ほどなくKEIZIの手には、青く輝く虫が・・・

アオカミキリ
 

アオカミキリ

今年も無事確保できました。周囲の状況から、植栽時の単発でなく、定着してそれなりの期間を経ているものと考えてよさそうです。

アオカミキリ
 

アオカミキリ

昨年はマテバシイの花粉だらけでしたが、今年も、まるで“唐揚げにでもなるつもりなのか!?”ってくらい見事に花粉塗(まみ)れです。

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そんなこんなで、目的も達成されたところで、大粒の雨も落ち始め、集合場所に向かったのでした。

 

(今回もしつこくアオカミキリについて)

アオカミキリと初めて出逢ったのは真夏の奥秩父、自然度の高い林道でした。

当時宿でも携帯電話は繋がらず、付近は(今も)熊が出没するようなところでした。

その大型で神々しいまでに輝く緑のカミキリムシは、まさに衝撃でした。

虜にならないわけがありません。

 

以来、高揚感に満ちた採集を堪能させてもらっているわけです。

その後、いろいろな方から[案外身近にもいるんだよ]と教えていただき、

さらに棲息の証についての、親切なアドバイスも頂戴しました。

 

そのような情報をインプットして近くを歩き回ってみると、確かに

教えていただいたような食害や羽脱の証拠が見つかり出したのです。

 

問題は、出現時期だな!?

カレンダーとは違うだろうから、花とリンクするだろう、

山ならリョウブやノリウツギだけど、

里なら栗?、アカメガシワ、それとも椎類か?

 

当然空振りもありますが、打席に立たなくては空振りもできません。

そして空振りしているうちに、ポテンヒットが出たりするのです。

昨年ようやく初ヒットを放ち、今年は2ヶ所で確認することができました。

みなさまのご近所にも、しれっと棲息しているかも知れません。

今年はこれまでですが、これからもご近所(特につくば野)で

アオカミキリ探しは続けるつもりでいます。

今回の2種のカミキリムシをご近所で確保するにあたっては

多くの方々からアドバイスをいただきました。

助言をいただけなければ、出逢いは数年遅れたはずです。

あらためてお礼申し上げます。

どうもありがとうございました<(_ _)>

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